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一夜明けて

見付天神裸祭の最大の見せ場、御大祭の熱狂の一夜が明けて静かな雨の朝。
体のアチコチが痛むのも、全身の筋肉が張っているのも不思議と心地よい。

夜8時になると裸の氏子達が会所に集まってきた。
褌、晒し、腰ミノと祭りの正装で集まる男衆は、いつもよりも逞しく凛々しい姿。
御神酒を振舞われた後、一発の花火の音を合図に出発しまずは町内を練り歩く。

町内を一巡した一団は、やがて本通りに出て他の町の裸衆と合流する。
新しい一団が加わるたびに、裸衆の固まりは大きく膨れ上がり、その度に激しい練りが繰り広げられる。

他の梯団とすれ違う時や沿道からホースで水をかけられた時、集団の興奮はさらに高まり練りは激しさを増す。
汗に濡れ紅潮した裸衆の体が沿道の明かりを受けて光る。
内面から湧き上がるエネルギーが外に向けて放たれる時、人の体はこんなにまで美しく輝くものかと感激する。
あふれ出すエネルギーが、通りを町を満たしている。

練りを繰り広げながら西に進んだ進んだ梯団(ていだん)は、加茂川橋で折り返し、総社に立ち寄り、三本松で再び折り返して天神様の境内へと進み、堂入りの時を待つ。
早く堂入りをしたい裸衆の練りのパワーは膨らむばかり。
「まだまだ~!」
それを焦らすがごとく、前締めがガッチリと腕を固め渾身の力で堰き止めている。
そして解放の瞬間。
拝殿に駆け込み、先に堂入りしている集団と渾然一体となっての激しい鬼踊り。
男たちの熱気、ワラの匂い、止まることの無いオイショ!の声。

やがて3番触れが堂入りして拝殿の鬼踊りは最高潮のボルテージに。
拝殿の奥では熱狂的な鬼踊りを背に、神官たちが厳かに神事を進めている。
〆切が堂に入ってきた。
その瞬間に〆切の榊が清々しく爽やかな香りを放ち、クライマックスが近いことを感じる。

ドーンと花火が上がり、一斉に照明が落とされて漆黒の闇に包まれる。
拝殿の奥から担ぎ出されてきた神輿の後を追い、拝殿の外へ出る。
昨年出遅れた反省を踏まえ、今年はいいポジションからのアプローチ、神輿の後を追う裸衆の先頭集団に並ぶ。
山神社のかがり火に照らされた神輿のてっぺんに、鳳凰が据えられる様子もしっかりと目にすることができた。

そしてお渡り。ユサユサと駆ける神輿のシルエットを追って総社まで走る。
数時間の練りの後で、張り詰めた筋肉が軋む。
ボロボロになって脱げかけているワラジも邪魔だが、そんなこともお構いなし。
最後の力を振り絞るように走る。

総社への到着に合わせて打ち上げられた一発の花火が、見上げた漆黒の頭上で大きく弾けるのがくっきりと目に焼き付いた。
感動!
いい1年になりそうだ。

3年目の参加で、これまで以上にこの祭りの面白さがわかってきた。

持て余すエネルギーを発散させたい若い衆が祭りを盛り上げる。彼らはとにかく体力の限りにがむしゃらに練る。
でも、全員が無秩序に練っていたらあの形は成立しない。
集団のペースをコントロールして祭全体の流れを演出したり、見せ場に合わせて緩急つける役割や、カッコいい練りにするために要所を締める役割、周囲の状況を見ながら集団の安全を確保する役割など、さまざまな役回りがあってこそ成立している。
どうしても血気盛んな若い衆が目立つけど、実はそれを支えているのは長年祭りに参加しているベテラン衆。
誰一人として気を緩めることができない緊張感も、参加する側の楽しみ。

沿道には多くの知人の顔。
ブログやSNSで知り合った人たちもたくさん見物に来てくれていた。
おとみさんが差し入れてくれたお茶が、カラカラに乾いた喉から全身に染み渡るようで美味かったこと(^^)

腰ミノを納め会所に戻った時に、「前の方で頑張ってたね。また来年も頼むよ!」そう言ってもらえたことが実に嬉しい。
また来年も、同じような気持ちで参加できるように、精一杯これからの1年を過ごそう。



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